最近チェイニー米副大統領をはじめ一連の政府首脳がイラクを先制攻撃し、フセイン政権の打倒を公然と表明している。いま世界の平和をまもる上で、アメリカのこの計画を断念させることが緊急かつ重要な課題となっている。
イラク攻撃計画は、アメリカ国防総省が去る8月15日発表した2002年の「国防報告」にもとづいている。ここでは、(1)アメリカを守るには「予防」、場合によっては「先制」が必要である。最良の防衛は攻撃である、(2)「(攻撃にあたって)事前に特定の方法を除外すべきではない。あらゆる手段を講じて相手を打倒する」として核兵器使用の可能性を示唆し、(3)アメリカに敵対する国家に対しては、その国家の転覆、政権の打倒、領土の占領も辞さない、などと述べている。
このアメリカの「国防報告」とイラク攻撃計画が、国連憲章にしるされた世界の平和秩序(個々の加盟国の武力行使は侵略が発生したときの自衛反撃に限られる、また他国の内政に干渉してはならない)などを根底からくつがえすものであり、民族自決権を侵すものである。イラクを先制攻撃し、フセイン政権の転覆を目的とするこの計画は、ブッシュ大統領がどんな理由をつけようが、道理も根拠も全くないものであることは明らかである。
アメリカの「覇権主義の暴走」ともいうべきこの計画に、米国内の現旧指導者からも、同盟国であるヨーロッパ諸国からもあいついで懸念と批判が集中している。また湾岸戦争で多国籍軍に参加したアラブ諸国、米軍基地を持つ国々からも、イラク攻撃の全面拒否、中東の軍事的混乱への強い懸念が表明されている。中国などアジア諸国も反対を表明した。このように世界からごうごうたる批判が沸きあがっている。
こうした中で重大なことは小泉首相がアメリカのこの先制攻撃戦略を「選択肢として理解する」とし「NO!」とはいわず、イラク攻撃への協力姿勢さえとっていることである。政府・与党三党は、アフガン攻撃に協力している自衛隊が、イラク攻撃に参加できないかを検討し、秋の国会では「有事三法」の成立に執念を燃やしている。「先制攻撃」「核攻撃」「内政干渉」というアメリカの戦略と有事三法が結びつくことがいかに危険か、いよいよ明瞭になってきた。
私たちはこれまで世界の平和、独立と民族自決権の尊重のために一貫して活動してきた。国際紛争の解決には、国際法と国連憲章を遵守する立場に立つべきだと考える。
私たちはアメリカのこの無謀な計画を糾弾し、その撤回を強く要求する。また小泉内閣はアメリカの戦争に協力せず、有事三法の成立を断念するよう強く求めるものである。