「アジア・アフリカ・ラテンアメリカ」(北海道版)2002年3月号より

「世界の見えない」小泉首相と「世界を展望する」AALAと

                                            北海道AALA理事長  伊藤 悳夫


 鈴木宗男議員の証人喚問(3月11日)の翌朝、それを報じた新聞やチラシの配布、署名などを駅頭でやった。人だかりができたり、向こうから手を出してきたりでなかなかの反応だった。地下鉄の中でもいつもと違った雰囲気だったという。肝心なことになると、あるときは「私は知らなかった」と逃げ、あるときは開き直る同議員の態度に業を煮やしている市民の姿があった。自民党離党の記者会見では涙を演出して見せたが、その疑惑はおさまるどころかますます拡大するばかりだ。
 鈴木氏は議員として適格なのか。80%の国民が「議員を辞職すべき」と考えている。野党4党は「議員辞職勧告決議案」を提出したが、自民・公明・保守の3党が「議員の身分は重い」というわけのわからない理由で本会議にもかけず葬り去ってしまった。

 もっと腹立たしいのは小泉首相の態度だ。鈴木氏の問題は、外務省関係だけでも北方4島支援事業疑惑、ケニアODA疑惑、NGO排除疑惑、コンゴ駐日大使人事介入疑惑などが指摘され、この他防衛庁関係、国土交通省関係にも及んでいる。さらに後になって領土問題で対ロ秘密交渉まで行っていることが明らかになった。まさに日本の外交、自民党政治のあり方が問われている問題だ。
 小泉首相は、この腐敗体質にメスを入れる気は毛頭なく、「議員辞職は本人の問題」「党に任せてある」などと真相解明に目をつむり、外務省の責任を追及しようともしない。国民には背を向けたままで支持率も急降下している。
 こんな日本政府の姿勢は、対米従属の姿勢と相まって、世界から見ると全く奇妙なもののようだ。問題の真相が見えず、国民世論にも背を向けているわけだから、世界が見えるわけもないが・・・…。
 2月末ブッシュ米大統領が、日本・韓国・中国を歴訪した。一般教書でイラン、イラク、北朝鮮を「悪の枢軸」と決めつけた同大統領に小泉首相は「断固としてテロと闘う決意のあらわれ」と礼賛した。韓国の金大中大統領は「今回ほど神経を使った首脳会談はなかった」とし、ブッシュ大統領から「北朝鮮と戦争するつもりはない」「対話を望んでいる」という言質を引き出すのにひと苦労したそうだ。中国の江沢民国家主席も「和をもって貴しとする」などいくつかのことわざをひいて、ブッシュ大統領をたしなめた。われわれの首相と何という違いだろうか。  「悪の枢軸」発言には、名指しされた三国はもちろんアメリカの同盟国からも「干渉、戦争挑発、侮辱」など猛反発を受けている。フランスのルモンド紙は「小泉首相は、われわれが反対しているこの発言を承認した」と論評した。

 私たちは、非同盟・中立の日本をつくる闘いを進めながら非同盟運動に結集しようとしている。世界をきちんと見つめ、アメリカ主導のグローバリゼーションの問題点を指摘し、その覇権主義、一国主義と闘っている。このことが先進国と発展途上国間の不公平・不公正を正し、世界の平和に役立つとの確信・展望があるからだ。
 「世界がもし100人の村だったら」という本が売れているという。「すべての富のうち6人が59%を持っていてみんなアメリカ合衆国の人です。……20人がたったの2%を分けあっています」
 こんな現実はブッシュ大統領や小泉首相には見えないのかもしれない。

 9月11日、われわれと行動をともにしていたプエルトリコ独立新運動議長・ムリエンテ氏はテロ発生の報に「これでわれわれの事業は難しくなる。ゴールは遠くなった」と嘆いた。
 しかし鈴木問題に対する国民の怒りと闘い、「悪の枢軸」発言に対する各国の反応、われわれのがんばり次第では、「遠のいたゴール」をグッと引き寄せることが可能かもしれない。                               (2002.3.22記)


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