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 今でも時々、ピアノの練習に使っているYAMAHAのデジタルシンセサイザー DX7です。

 先日久しぶりに電源をいれた時の事です。鍵盤を押しても音がでないのです。よく聞くとかすかに「ピー」とか「ヒョロヒョロ」という奇妙な音が鳴っているだけです。ディスプレイを見ると、表示がおかしな状態になっていました。一体何が起こったのだろう? どうして音がでないんだ

 かつてDX7についてネットで調べた時に、こんな事が書かれていたのを思い出しました。

DX7には内蔵電池があり、これが様々な設定のバックアップを行っている。
 もしこの電池に寿命がくると音が出なくなるので、電池の交換が必要になる。


 しかし、その時はあまり詳しくサイトの内容を読んでいなかったので、もう一度関連する記事探して読みなおすことにしました。


 自分は比較的簡単に電池の交換ができると思い込んでいたのですが、関連サイトの内容を読んでみると結構面倒な手順が必要だと書かれていました。使用されているボタン電池は、市販されているCR2032という一般的なリチウム電池のようです。情報によると機械の内部ではこのボタン電池が基盤に直接取り付けられているらしいので、これを外して電池を付け直さなければなりません。しかし直接電池をハンダ付けしようとすると、過熱が原因で電池の破裂事故を起こした人もいたようです。だからほとんどの人はボタン電池用の電池フォルダを使用しているようでした。やや不安がよぎりつつも、まずは電子部品を調達するための専門店を探す事から始めました。

 あっちこち電話をかけてやっと見つけた電子パーツの専門店で、電池フォルダとボタン電池を購入する事ができました。
 結局かかった費用は合計でたったの390でした。それ以外に必要な道具であるハンダごて、ハンダ、そして短いリード線は昔使っていたものがあったのでそれを利用する事にしました。これでとりあえずは準備完了ですね。



 さて作業を開始します。サイトの情報にあったように、DX7のフロントパネルの4すみと右上背面の1か所の合計5つのネジを外しました。すると容易に全面パネルを開ける事ができました。内部には思っていたよりも空間的な余裕があり、驚きました。

    ←電池はオレンジの丸の所にありました。

 目的の電池を見つけるまでに時間はかかりませんでした。よく見ると周りを黄色の絶縁体で取り巻かれ、上面のプラス極に金属端子がハンダ付けされていました。残念ながら下面のマイナス極はどのように基盤に取り付けられているのかは見えませんでした。


 とりあえずは電池をグリグリと動かしてみました。しかし可動範囲はほどんなくて、電池が外れる気配は全くありません。結局サイトに書かれていた様に、思い切ってニッパーを使って接続端子を切断する事にしました。このような思い切った行動がとれるもの、過去に経験した人がネット上に情報を提供してくれているからなのでしょう。本当に感謝です。

      ←取り外しには結構勇気と思い切りが必要でした。

 まず電池のプラス極についている金属端子を基盤の付け根付近でパチリと切断しました。これで電池の自由度が広くなりました。後はグリグリと電池をひっぱり上げながら動かしていると、パチッという音と共に電池を外す事ができました。電池のマイナス側も、基盤から出ていた金属片にハンダ付けされていたようでした。この金属片も先ほどと同じように基盤の付け根でパチリと切断しました。

   ←この位の長さで大丈夫、昔はこういうのをよく作ったなあ。

 次に電池フォルダに短いリード線をハンダ付けしました。フォルダを置く場所を決めてから、プラス側とマイナス側のリード線の長さを決めました。

  ←やっと出来たっ! って思ったのに、、、 あれっ?何かがおかしいぞ。

 そして基盤への取り付けです。私は右利きなのですが、ハンダごては左側から入れる必要があったのでやや苦労しました。何度か失敗しつつもやっとハンダ付けは完了です。新しい電池をフォルダに入れようとしたまさにその時でした。

ん、何かおかしい!

 よく見るとプラスとマイナスを逆に取り付けているではありませんか。これもサイトに記載がありました。極性を間違って電池をつなぐと本体に致命的な故障を引き起こすそうです。一瞬手がふるえました。よく気がついたものです。


      ←今度こそ大丈夫です。

 苦労して取り付けたフォルダを、ハンダを溶かして取り外しました。こうなるとリード線の長さが変わって来るので、もう一度リード線の加工からやり直しです。深呼吸をして作業の再開です。落ち着いて同じ工程を行いました。今度はちゃんと極性を確認してから、ボタン電池をフォルダに取り付けました。フォルダには少し力を入れて電池をはめ込む必要があったので必然的に力が加わりました。これで終了です。

 前面パネルを元に戻してから、コンセントを差し込み本体の電源をいれました。鍵盤をたたいてみると、、、 あれっ、音が出ませんよ。えーっ、ショックでした。何か工程を間違ったのか、それともハンダ付けしている時に基盤を破損してしまったのか、まあ最初からダメ元で始めた修理だったからあきらめも付くというものです。

 でもなんかすっきりしないなあ、、 

そう思いつつもう一度前面パネルを開けて中をチェックしなおす事にしました。するとしっかりと取り付けたはずのマイナス極側のハンダが外れていました。どうやらさっき電池を入れる時にフォルダを強くひっぱったのが原因のようでした。そこで今度はハンダを多めに使ってしっかりと基盤にリード線を固定してから、フォルダに力をかけないようにしてゆっくりと電池を慎重にはめ込みました。


 もしこれでダメならあきらめようと思いつつも、かすかな期待を抱きつつ再度本体の電源をいれて鍵盤を押してみました。

 するとあの懐かしいエレクトリックピアノの音が聞こえたのです!これこれ、これこそ正真正銘のDX7の音ですよ。

 さんざん苦労した挙句の成功だったので、その時の感激もひとしおでした。嬉しくてしばらくはいろいろな音を出してみて、曲を弾いていました。最後に前面パネルを閉じる前に、電池フォルダの下に絶縁目的のプラスチックシートを敷きこみ固定しました。電池があっちこちへ行ってショートされては困るので、まあとりあえずはこれで大丈夫でしょう。


 残念ながら内蔵音源(Internal)の情報は、電池の消耗によって全て失われてしまいました。そこにはかつて愛読していたキーボードマガジンに載っていたDX7用の貴重な音源データが入っていましたが今はもうありません。とりあえずは音源カーリッジNo.1Aサイドにある初期音源を本体にローディングしておきました。そして昔買ったDX7関連の書籍の中にある「初期音源のエディット方法」に沿っていくつかの音をエディットする事にしました。でもこうやってDX7のボタンを押しながら、いろいろなパラメータを変化させ音づくりをする楽しみを再び味わう事ができるのは私にとって至上の喜びです。

『蘇ったDX7をこれからも大切に使って行こう』 そんな強い決意を再確認した私でした。

 めでたし、めでたし。

(1.13.2010)





DX7のバッテリー交換