Shade Tips/Downy hair Line Drawing



なんで「Downy hair Line Drawing」なん?
(走り書きのつもりが長文に)
 ある仕事で少女マンガ的な3DCGの表現を模索していたのですが、プログラムで稜線を
検出して線を描画する従来のトゥーンレンダリングでは、なによりマンガ的な線が出な
いし、要求されているリアルタイムレンダリングで処理が重いということがあって、ず
っと悩んでいました。

 そんなある日、家で風呂に入りもって、からだをゴシゴシ洗っていたんですが、
 「さいきん疲れがたまっとるから肌に張りがないなー」
 という愚痴めいたつぶやきから始まって、あらぬ妄想へ突入。疲れているんです。

 「あー若い肌はええやろなー、こうプリっとしてて弾力があって、それでいて触り
  心地はさらっとして、お日さんの下では柔らそなええ感じの肌色が出て、ほんで
  もって逆光だと産毛が綺麗なんやぁ。輪郭が光りよるでなぁ」

 ん、まてよ?

 風呂の中で一応の手順だけ考えておいて、風呂から出るとロクに服も着ないで考えを
ノートに書き付けていたら、すっかり冷えて風邪を引きそうになりました。


 普通は見えない産毛が、一本の輝く輪郭線になる。  ということは、  産毛のように全身を覆っている膜のようなものがあって、本体のあるところでは見え ずにいて、本体の輪郭が切れたところから、逆光に輝く産毛のように急に見えだすよう に設定すれば、特別なレンダラーを使わなくてもトゥーンレンダリングができる。  その時思い付いたのが、  レイトレーシング手法で過剰な計算をオミットするために設定する、レイが面を通過 する回数を制限する機能を使った第1の方法でした。
 輪郭「まで」の面はレイが通過するため本体の色が見えて、輪郭の「むこう」の面は レイが通過できずにバックグラウンドの色を描画する。  本体の後ろにある面はもちろん隠れて見えないため、結果的に輪郭線を描画する。  それだけで、特別なプログラムも特別なパラメータもいじらずに、モデル制作の過程 でデザイナーが完全にコントロールできる輪郭線が出力できる。プログラムの組めない 一介のデザイナーな自分には、ずいぶん画期的な手法に思えました。  とにかく、これで少女マンガ的な3DCGは作れそうだ。  あまりに簡単にできることなので、すでにどこかで公表されている手法だとも思いま したが、これまで目にしたCGの技術書にはなかったのと、かなり使えるTipsだと思った ので、このさい自分で広めようとホームページに公開することにしました。  技術は公開しないと、いけません。
 公開するにあたって、この手法を指し示すのになんぞ名前をつけてやらんといけん、 というので、ちょっと考えました。  「産毛」は「Downy hair」というらしいので、それなら「Downy hair Rendering」に しようかと思ったのですが、あえて、  「Downy hair Line Drawing」  面をレンダリングするのではなく、線をドローイングするのだぁ、  と、いきまくことにしました。  すでにどこかで発表されていて、名前が付いてることも充分考えられます。  それでも、自分の頭から捻り出したのには違いないので、  「Downy hair Line Drawing」と呼んでみたいと思います。  勝手に名前なんかつけて恥をかくことになるかも、ですが。
 それで次の日、仕事先のプログラマさんにこの手法を説明していたら、彼は面の通過 の制限を法線によるものと勘違いしました。  それを聞いて感心したのはこっちの方で、レイの通過制限なんてまだるっこしいこと をしなくても、ポリゴンの基本的な性質を利用できるじゃないか、ってなことになった のです。K君、ありがとう。  面白いなぁと思うのは、  わざわざ裏をつくらないと抜けてしまって使い物にならない、ポリゴンというものの 厄介な性質が、この手法では非常に効果的な形で利用されていることです。  扱う頂点数は素直に二倍になりますが、描画処理の面で特別な演算を必要としないの で、この手法は特にリアルレンダリングを必要とするインタラクティブな3DCG、ずばり 言うとゲームグラフィックに活用できるように思います。  アニメのセルのかわり、と割り切ってしまえば、モデルに貼るテクスチャもなくなっ て転送するデータも軽くなるので、頂点数が二倍というデメリットを簡単に消化できる と思います。
 それで出来上がりはというと、プラグインで生成するトゥーンレンダリングとは一線 を画す、とても日本的なアニメマンガ調の3DCGになります。  もちろん、アニメーションムービーにも使えますよね。  別にレンダラーではないので、リアルな背景と一緒にレンダリングできるのが、面白 そうですし興味深いところです。
世の中何が起こるか判らないからとハテナな奥付けをつけていましたが(発案当時)、今 になって多少知識を得たので修正しました。(^_^;
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2000年6月6日 大西直孝

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最初作成日 2000年4月26日 最終更新日 2000年6月6日


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